歯の移植 ~トランスプラント~

インプラント治療を選択する前に! (before selecting implant)

 歯がなくなった場合、一般的にはブリッジ、入れ歯そしてインプラントの中から治療を選択することが多いです。この中で現在多く用いられている治療がインプラントであり、そのメリットは計り知れません。

 しかしインプラントは人工物であり、日々のお手入れが歯よりも難しいともいわれています。そのため数年してまたインプラントも抜けてしまったという話も最近ではよく耳にします。

 ですので、もし親知らずなどの健全な歯が残っているのであれば、インプラント治療を選択される前にご自分の歯を移植(トランスプラント)することをお勧めいたします。

歯の移植の方法
歯の移植の症例
症例1
症例2
歯の移植の欠点は?

 歯の移植の成功率は、年齢によって違います。まだ歯の根が完成していない年齢であれば、移植した歯の神経に対するダメージが少なく、予知性も高いと思われます。

 成人であれば最終的には2つ考えられます。すなわち炎症性吸収と置換性吸収と言われるものです。炎症性吸収は細菌の感染によって起こり、急激に歯が吸収してくるため残念ながら抜歯しなければなりません。置換性吸収は生体の恒常性を保つため緩徐に吸収され最終的には骨と置き換わりますので、経過を観察していくことが多いです。

 どちらにせよ将来インプラント治療を行う必要が出たとしても、年齢を先延ばしにできるということが、歯の移植の最大のメリットになります。

インプラント治療を先延ばしにするメリットは?

 20歳で歯周病が発症し、適切な治療を受けなかった場合の骨の喪失を表したグラフです。もし40歳でインプラント治療を行い、骨の喪失がグラフと同じであれば、70歳でインプラントを喪失することになります。そのため、より遅いタイミングでインプラント治療を行ったほうがより高齢までインプラントを持ちこたえさせることができると思われます。

Lundgren D, Rylander H, Laurell L;Published 2008 in Periodontology 2000.