フッ素塗布

どうして虫歯になるの?
 むし歯は、いろいろな要因が複雑に絡み合って起きる病気です。むし歯に関しては、カイスという研究者がむし歯にかかる因子を3つ(①歯の強さ、②糖分の量、③ムシバ菌の量)挙げ、この3つの要因に④時間という概念をくっつけて、全て重なり合なりあったときに起こることを提唱しました。

 つまりむし歯は、①歯が弱く、②甘いものをよく食べ、③お口の中のむし歯菌の量が多いとき、脱灰という作用が起こり、歯が溶け出すことにより起こります。ですから、この3要素をフッ素などでコントロールすることが、非常に重要なのです。

 またお口の中の酸性度(pH)は糖分をとると酸性に傾きます。ある一定以上酸性になると歯が溶け始めます。このpHを臨界pHといいます。だらだら食いを続けているとお口の中が臨界pHより酸性の状態が長く続くため、虫歯が進行しやすくなります。ですからお食事をとる④時間(正しい生活習慣)も大事な要因といえます。

カイスの輪

R.M.Stephan et al.,1943

フッ素の効果は?

フッ素には以下のような効果があります。

① 歯質を強化(耐酸性の強いフルオロアパタイトを生成)し、虫歯になりにくくする。
② 虫歯になりかけた部分の自然修復(再石灰化)を促進する。
③ 抗菌作用、抗酵素作用により虫歯菌の活動を抑制する。

フッ素はどのくらい必要なの?

 理想的には、歯が生え始めた時から永久歯が生えそろう頃まで、毎日行うのが良いと思います。ただ毎日歯科医院に通うことは不可能ですから、毎日の歯みがきは市販のフッ素入りのハミガキ剤でしっかりみがき、定期的にメインテナンスしていくことが重要です。

 またホームケアとして、フッ素入りのハミガキ剤のほかに洗口剤などをお使いになることも効果的ですが、使いすぎは禁物です。フッ素を取り込みすぎると「歯牙フッ素症」を引き起こすといわれています。 「歯牙フッ素症」とは、歯が白濁したり、ひどくなると茶色い染みができたりする病気です。もし、お子様の歯が白く濁って見えるようなら、ご家庭でのフッ素の使用は控え、すぐにご相談下さい。

 当院では1日1回のフッ素洗口をお勧めしています。

歯科医院でのフッ素塗布はどのくらいの間隔で行えばいいの?

 当院では、お子様の虫歯リスクの検査を行ったあと、お子様に応じた方法、回数でフッ素塗布を行っています。 基本的には、最低でも1年に4回、つまり3ヶ月ごとのフッ素塗布が必要だと考えています。

 これは3か月に一度の検診も兼ねられるため、万が一虫歯になってしまっても早期発見ができること、歯並びが悪くなりそうな時も早期に処置が可能であること、などフッ素を塗布するだけ以上のメリットがたくさんあるためでもあります。

 しかし大事なことはせっかくの予防処置ですから、虫歯になる前に適切な処置を行うことです。健康なお口の状態を維持していくには、定期的なメインテナンスが必要不可欠なのです。

フッ素にはどんな効果があるの?

A群:保育園、幼稚園から中学校まで11年間フッ素塗布 を続けている。
B群:小学校から6~9年間、フッ素塗布を続けている。
C群:フッ素塗布をしたことがない。

自宅でハミガキするだけではだめなの?

 きちんとハミガキしているのに、虫歯になった経験はありませんか?実はハミガキは意外と難しいものです。そのためきちんとハミガキしているつもりでもみがき残しができてしまうようです。そういったところは残念ながら虫歯になりやすくなります。
 私たちはそのようなみがき残しを発見し、お子様のお口の健康を維持することを第一目標としています。

フッ素塗布の方法

 当医院のフッ素の使い方についてご説明いたします。

① みがき残しのチェック …ちゃんとみがけているかチェックし、ご説明します。

② RDテスト …唾液中のミュータンス菌の量を検査し、虫歯のなりやすさ(虫歯リスク)とフッ素塗布の回数を決定します。

③ 歯のクリーニング(PTC、PMTC)…歯ブラシや専用の器具を用いて歯のクリーニングを行います。

④ ブラッシング指導(TBI)…正しい歯のみがき方をご指導します.

⑤ フッ素の塗布…専用のトレーやハブラシで歯科専用の高濃度フッ素を塗布します。塗布後20~30分は、お食事などなさらないように注意してください。